三島村へゆく、<2019-2020>年末年始紀行 その3

ツーリング

2019年12月28日

今日はいよいよ、島に渡る日。準備をしたら飛び出そう。

まずは腹ごしらえ、バイキング形式のよくあるタイプだが、鶏飯があるではないか。奄美大島を想いながら、ひたひたにした鶏飯を頬張る。ついつい食べ過ぎてしまうのは毎度のことだが、しばらく自炊が続くので今日のところは良いだろう。

それでは、荷物を括り付けて出発だ。港は目と鼻の先だが、島にはガソリンスタンドが無いので、ギリギリで給油をしておく。

鹿児島港はみしまフェリー乗り場から出航する。5分と無く到着するも、ゲートがあり、バイクはどこへ行けば良いのか。脇に置いて係員へ聞きに行くと歩道を押して入ってとのこと。

予約をしていたので、手続きはスムーズだった。ただ、ここでまとめて手続きするのではなく、各島で乗船前手続きが必要になるという。

ここで、水を買ってきてないことを思い出す。観光協会に島のことを問い合わせた際に硫黄島の水は鉄分が多く、慣れてないとお腹をくだすかもしれないと聞いたのだ。バイクを降板に載せたら歩いてコンビニまで行く。冬だというのに朝から暑い、南国とは言え暑過ぎる。

汗をかきつつも、出航前には戻ることができた。乗船口のところに移動式パン屋さんがいる、数々のパンの陳列が購買欲をそそられますね。まんまといくつか購入してから乗り込んだ。

乗り込んで荷物をまとめたら、間もなく出航となった。席はよくある雑魚寝のフロアだ。ヘルメットとジャケットを端にまとめてデッキへと向かい、鹿児島港を見送る、

左手には桜島がドカンと聳え立っている。勇ましい姿だ。晴れ晴れの青い空、嬉しいではないか。

しばらくは錦江湾をゆく。位置的に、何だか竹芝から東京湾を進む感覚に似ている。湾を出る頃、右手には開聞岳のシルエットが近付いてきた。海のきわっきわにこうも見事な円錐がそびえ立つ姿は不思議だが、美しい。

まずは竹島への寄港だ。緑が生い茂っているのが見てわかる。島名の通り、あれは全部が竹なのかどうかは、さすがにここからでは判断できなかった。寄港は一瞬だった、次なる島へと出航だ。

何だかお腹が空いてきたので、鹿児島港で購入したパンを頬張った。デッキで食べることは最高のスパイス。

ほどなくして、異様な形の島のシルエットが目に入る。これこそが硫黄島、青空の下でこの島を目の当たりにできたことに感激である。とにかくかっこいい。吹き上がる噴煙からは、硫黄臭が風に乗って漂ってきた。

絵の具をごちゃ混ぜにしたような湾に入ると着岸だ。約4時間の船旅はあっという間に終わった。いよいよ上陸の時間、縄の解かれたセローの元へと向かう。

硫黄島に到着

島へ降り立つが瞬間はたまらない、目の前の初めて見る世界に飛び込んでゆく時の感覚が全身を痺れさせる。

観光協会の前には素敵なイラストがあります。島で見る歓迎の言葉は心躍り、嬉しくなる。楽しもう。係の方とお話し、島のことを確認した。

このままの姿ではタンデマーは乗ることはできないが、荷物を積み直すのも面倒なので、ひとまずテントを張りに行く。場所も先ほど聞いた。

港をぐるっと回れば程なくして指定地はあった。荷物だけ下ろして港に戻ろうと思ったら、なんだかカラフルな動くものが見えた…鳥だ、孔雀だ!驚くことに、硫黄島には昔施設で飼われていた孔雀が放たれて野生化していると言う。珍しいものだ。

とりあえず港に迎えに行ったので、2人でテントを立てた。消えていた孔雀を探したら、やはりいた。美しい。こんな非日常に出会えるとは思っていなかったので、とても良い。

それでは島を巡ろう。港から見て気になった橋があったのでそこからだ。赤いそれは岬橋、恋人岬へと続く橋だ。足がすくむようなところだが、それよりも凄い景色だ。港と硫黄岳を望む異世界感溢れる風景。

そのまま恋人岬まで行くと、歩道とは別にあぜ道があり、セローで駆け上がった。誰もいない、摩訶不思議な世界を独り占めだ。せっかくなので、空からも見てみることにした。

硫黄島

恋人岬は後にし、島を満遍なく巡ることにする。道が多いわけではないが枝道があるので、一本一本入ってみる。

いかにも島の風景の連続を見て走る。牛の放牧と草原に海、更には硫黄島ならではの荒々しい硫黄岳の山肌が見えるのだ。

のんびりと巡るとキリがないのだが、島の地を噛み締めて走る。

西側を巡ったら、東に向かってみる。この島の目的の1つ、東温泉の様子を伺いに行ってみるも、地元のおじさまと見られる先客達がいらしたので、後でまた来ることにした。

続いて北へ、今は使われていない坂本温泉跡に訪れた。海の縁に湯が貯まるような区画があるのみ。まさに野天だが、触ってみると水だったのとヌルっとしているので、足を入れるのも断念した。

同じく北側に展望台があるというので、そこにも寄り道した。同じフェリーで降り立った、鹿児島ナンバーのレンタカーが停まっている、真剣にバズーカレンズを硫黄岳に向けているようだった。

ちょうどここで紅く輝く夕陽を見た。山が紅く染まり、山肌の表情が変わった。素晴らしい情景、旅の醍醐味だ。

陽が影に入ったので南に向かう。途中の細道に入り、丘の上から夕陽を望むことができた。

背後には硫黄岳が迫っている。ここらが限界の近さではないか。

硫黄岳には硫黄の採掘場跡や六合目には展望台もあるのだが、火山活動度が上がり、ずいぶんと前から入山禁止となっているのだ。いつの日か入れるようになった時は、また訪れたいものだ。

暗くなってきたので、真っ暗になる前に先ほど下見した東温泉へ向かう。思惑通り誰もいない、貸切だ。

脱衣所は岩陰を使う、ささっと服を脱ぎ、湯に浸かってみる。湯加減も適温、大海原の景色を目前に2人で野天を堪能した。それにしても、凄い立地にある、これは、日本でも屈指の温泉だろう。この時間だけでも硫黄島を訪れた価値がある。

真っ暗になった世界で服を着て、温泉は後にした。冬なのに、さほど寒くなく着替えも苦ではないことがありがたかった。

テントに戻り、持ってきた食材で焼肉だ。

星を眺めながら過ごす晩餐のひと時。硫黄島の忘れられない1日が終わった。

走行距離:39.3km

コメント

タイトルとURLをコピーしました