2019年12月29日
目を覚ますと、目の前には硫黄岳が噴煙を上げてそびえ立っている。”我々は今、旅をしている”、ひしひしと感じる風景だ。
しばらくしたら、海の方から眩い陽が昇った、今日も晴れそうだ。
暖かくなってきた。朝ごはんを食べたら間もなく撤収をし、本日この島を経つ。心残りは、この指定地の側にある三島開発総合センターのお風呂に入れなかったことだ、温泉に入れるとのことだが、年末のため休みであった。
荷造りが完了したら、最後に恋人岬へ立ち寄った、島の各所を巡ったが、ここからの景色が格別だ。
港へ行き、手続きをする。硫黄島とのお別れの時が近づく。でも、本土にはまだ帰らない。続いての島、竹島を目指す。
船がきた。「フェリーみしま」、三島村の三島の海路はこの船1隻が担っている。故に時刻表が複雑だ。
鹿児島港を起点として竹島→硫黄島→黒島→鹿児島港を日帰りする便と、
鹿児島港から竹島→硫黄島→黒島と進み黒島泊、翌日は黒島から硫黄島→竹島→鹿児島港と戻る1泊の便が混在している。
前日は1泊便の往路だったため、竹島飛ばしで硫黄島まで来た、この日は黒島から来た便なので、復路で戻りながら竹島に降り立つプランにした。
乗り込んだら間もなく出航の合図だ。港に目をやると、島伝統のジャンベを奏でてくださっている。このような島の温かさがとても良いですね。
それでは硫黄島よ、さらば。またね!離れていく島を見ると切なくなる、船旅の良さだ。
1時間ほど海の揺れを楽しんでいれば、竹島に到着した。前日に見ているので不思議な気分だ。
この島でもまずは設営だ。予め確認してあった指定地へ向かう。集落からは少し外れた赤丸のあたりになる。
着いてみると、体育館の脇になるのだが、とても開放感があって良いところであった。
張り終えたら少し散策に出る、島唯一の商店、「竹のいえ」に立ち寄る。2018年に20年振りに島にできた”お店”だ。とても素敵な店構えで、今旅でも何度もお邪魔した、安心できる基地と言ってもよいだろう。
一通りのものは置いてある、島の方にとっては生命線になるだろう、すぐに手に入るという便利は一度知ると手放せない魅力だ。
ラインナップの中で目を引いたアイスを購入。こう言っては何だが、とてもセンスのある品揃えだった。生活の品だけじゃない、オリジナル商品も素敵なもので、タオルをお土産に購入した。
海を眺めながらの、「南国白くま」美味しいでしかない。鹿児島だねぇ。
お昼時になったので、テントに戻り食事にした。持ってきた何てことないカップヌードルとドライフーズだが、青空の下食べると美味しいなあ。
それでは、本格的に散策へ出発。まずは西、最西端を目指す。
その地は「オンボ崎」、漢字にすると「雲母崎」、由来はちょっとこわい「隠亡崎」。数年前まではここにキャンプ場もあったようだが、今はトイレも炊事場も無いため、利用できなくなっている。公園としても、アスレチックや展望台なども合わせて無くなっていて、上まで行ったが今は草ボーボーとなっていた。
その点は少し残念だが、眺望としては硫黄島のシルエットが望めて島随一の場所だ。
なお、鹿児島県オフィシャルHPにはキャンプ地があることになっている。”更新日:2020年1月24日”とあるが、写真も古いし、偽更新だろう。
展望台の代わりと言っては何だが、ここで少し上空から見てみることにした。緑な島なことがわかる。
のんびりできたところで、島の逆側へと行ってみよう、横断だ。道は竹林を突っ切っており、ガードレールまで竹がモチーフ。やっぱり竹島なだけあります。
島の真ん中あたりに戻ったところで南東に目を向けると、断崖の景色が。まるで竹の子のような岩も見えた。ただ、ここは視界が開けてはいるが、草が生い茂るっているのは残念、冬だから放置?
少し町の中心を巡ってみる。「縁結びのガジュマル」があった、ガジュマルのトンネルだ。しかし、縁が結ばれる前にこの島に遊びに来るカップルは稀なのではないかと思ったりもしたり。島の人にとっては当たり前の存在だし…。何かと縁結びにしたい観光地は多い。
続いては、島唯一の自動販売機を見つけた。「竹のいえ」ができる前までは稼働していたようだが、今は不動だ。近くの家の方がいたのでいつまで使えたのか聞いてみて確認した。
念のため、夜になったらお金を入れて確認してみたりもした。
町に来たので、またも「竹のいえ」に寄り、おやつにアイスを購入。これまた九州感あるあるもので嬉しい。
ちなみに、残念ながら”はずれ”だった…のは、どうでもいい話。
食べたらもう少し近くを巡る。聖大明神社という珍しい神社があった。何が珍しいかと言うと、鳥居の先に下り階段があり、社には狛犬ではなく狛猫が鎮座しているという。確かに見たことのない顔つきだ。
ひっそりと佇む島を守る社を参拝したら、島の東側へ行ってみる。
雑木林に囲まれた何も無い道をゆく、途中、ようやく牛の姿があった。島の東側は放牧地になっているのだが、年々やる人が減ってしまって規模は縮小しているようだった。
東の端に到着したが、荒れた放牧地があるのみであった。
すっかり空模様は曇天の灰一色となってしまった。来た道を戻り、一度テントに帰ることにした。
翌日の天気予報は生憎の傘マーク、朝起きた時に屋根を使わせてもらおうと、テントの位置を移動することにした。年末のため、体育館の利用も無いだろう。
時刻は夕刻だ、天気が良ければ夕景を眺めに行く予定だったオンボ崎、時間もあるので再び行ってみる。
硫黄島のシルエットはくっきりとしている。遥か西の空には、きっと太陽が沈んだんだなって感じるくらいの明るい空が見えた。硫黄島と並んで沈む夕陽が見たかったが、残念である。
最後にもう一度、「竹のいえ」に寄り、おやつなどを買い足した。ここで、さっきは気付かなかったが、なんと電子マネーが使えることに気付く。試しにiD決済したところ、通しナンバーとみられる伝票番号は”6”、そりゃあ需要は少ないですよねと、すっかり顔を覚えられたお店の人からもレアキャラ扱いされたのであった。
テントに戻ったら夕飯だ、ナポリタンと高菜チャーハンと、中々の贅沢めしとなった。
雲の隙間から星空は結構見えたものの、明日の予報は悪い。
翌々日の荒れた涙の予報にビクビクしながら眠りについた。
走行距離:47.6km
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